債務整理ガイド

離婚後の慰謝料や子供の養育費は債務整理の対象にできるか?

借金は人の人生を狂わせてしまいます。
借金をした事情は様々ですし、それが返せないほどになってしまった理由も様々でしょう。
ですが、時に借金は家族生活さえ破綻させてしまうこともあります。
事業で失敗した際や友人などの保証人になった場合に、自己破産しか生活を建て直す手段がなくなってしまい、自己破産をするとマイホームも失いその後の生活も大変困難ということが予想されます。
みじめな生活をさせる前に離婚を決める方も少なくありません。
一方、欲しいものを我慢できない、金遣いが荒くてローンを重ねてしまった場合や、もっと金利が低いところを探せばいいのに高金利のカードローンやショッピングローンを借り過ぎてしまい返済が難しくなったケースや、返済できると考えていたのに突然のリストラなどで借金が返せなくなるケースもあることでしょう。
こうした状況に嫌気がさして、奥さんが子供を連れて出て行ったという話もよくあるケースです。
一方で、離婚した後、人生の歯車が狂い始め、事業に失敗したりして借金が返せなくなり債務整理しか手段がなくなる人もいます。
中には軽はずみな浮気がバレて即離婚され、ついていないと思っていた方が借金も返済できなくなるなど、人生のつきに見放されたような方もいることでしょう。

債務整理をするとどうなるか?

借金のために離婚するケースから離婚後に借金を背負ったケースまでありますが、離婚をすると事情によっては奥様から慰謝料を請求され、お子さまがいれば養育費を支払うことになるのが一般的です。
この状況で民事再生や自己破産などの手続きをしたら、これらの支払いはどうなるのでしょうか。

子供の成長に必要なお金の請求権は守られる

養育費というのは奥様の生活を支えるためのお金ではなく、そもそもお子さまの生活や教育のために使われるお金です。
ご本人としても子供のお金はどうにかしたいとうい気持ちはお持ちと思いますが、出せるお金がない以上どうしようもないというのが実情でしょう。
では、法的にどうなるかといえば、民事再生や自己破産をもってしても、一切減額も免除もしてもらうことはできません。
既に支払う月の分を支払っていない場合には、自己破産の場合、配偶者が裁判所に届出するだけで請求ができ、他の債権について免責を受けても支払い義務は消えません。
その後に支払いがやってくる分についても、当然支払い義務が生じます。

性質や事情によって判断が分かれる

慰謝料については悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務や、故意・重過失で加えた生命・身体に対する不法行為に基づくものである場合には減額や免責は認められません。
ただし、民事再生や自己破産などの手続きの中で判断されるものではなく、配偶者から訴訟を提起され裁判所によって別途、悪意や故意・重過失によるものかを判断することになります。
この点、あなたが借金の返済に困り、「離婚時に合意していた金額が払えない」と配偶者が裁判所に訴える前に交渉ができれば、訴えを阻止し、かつ事情を汲んでもらって減額や支払いの延期などの合意ができる場合もあります。
もっとも、互いの話し合いではナーバスになり、まとまるものもまとまらないので、司法書士などの離婚の専門家に相談するのがおすすめです。

債務整理以外で減額できる術はあるのか?

民事再生や自己破産の手続きにおいては、離婚に関わる請求は減額や免責が受けられないことになっていますが、実際問題として借金の返済にもご自身の生活資金にも困っているわけですから、元奥様やお子さまのために支払いたくても支払う資金がないのが現実です。
にもかかわらず、元奥様やその代理人の弁護士などから、督促請求を立て続けにされる場合や、裁判に訴えられて請求されるとなっては、生活を建て直そうと思ってもくじけてしまいます。
どうにか減額や免除を受けられる手段はないのでしょうか。

特別な事情や相手の結婚が減額のキッカケに

たまにあるケースですが、そもそもまだ離婚や親権争い、養育費の金額などで係争中であれば、生活の変化による収入減や債務整理の事情を組み込んだ上で裁判所が判断をしてくれるのが基本です。
離婚にいたった事情や生活の環境などを踏まえて適正に判断してもらえれば、今後の自分の生活もできなくなるほどの金額にはならない可能性も高いです。
ただし、この場合も自分で裁判所に行くより、交渉の専門家である司法書士や弁護士などの専門家に代理をしてもらわないと期待する結果は得られないでしょう。
既に離婚も成立し、金額も決まっている場合は決定時の事情と大きく異なる事情が発生し、かつ、減額することの正当な理由や事情が認められれば変更が認められることがあります。
たとえば、病気やケガにより労働が困難になる場合や、リストラによる収入の減少をはじめ、元奥様の収入がアップしたなどの事情がある場合です。
変更をしてもらうには調停などを申し立てる必要がありますので、やはり司法書士などに相談の上、収入減や生活困難を事情に減額の交渉をしてもらいましょう。
なお、元奥様が再婚すれば、養育費の支払い義務も消滅しますので相手のその後の生活状況を確認することも重要になってきます。

相場にマッチしていない場合や請求理由に齟齬がある場合

慰謝料請求に関しては本来の相場を超えて請求された場合には、減額交渉を行うことが可能です。
また、請求の理由がそもそもないという際には支払う必要もありません。
たとえば、浮気をしていないのに浮気をしたと思いこまれている、DVをした覚えが一切ないのに暴力を振るわれたなどと元奥様が訴えているような場合です。

分割払いの交渉

支払うことに正当事由があり、減額が認められないといった場合や、減額交渉には成功したもののそれでも支払うのが難しい場合には、分割払いを交渉する道があります。
養育費は通常、毎月払いや年一括払いになりますが、慰謝料の場合は一括払いが基本となります。
それは厳しいという場合は司法書士などに間に入ってもらって、分割払いに応じてもらうよう約束を取り付けましょう。
その際、相手方にも司法書士や弁護士が代理人となっている場合、期限の利益喪失約款や強制執行条項が入った公正証書で示談書を作成するよう求められることがあります。
この場合、分割払いが1回でも滞ると、残額を一括請求されることになるので、分割払いがしやすい額をよく検討して交渉してもらうようにしましょう。

消滅時効の援用

請求が放置されるのはめったにないケースと思いますが、慰謝料請求には消滅時効があります。
元奥様がその存在を知ったときから3年または、請求が生じる事情が生じてから20年です。
たとえば、浮気をしてしまい、不貞行為に基づく請求なら元奥様が不貞行為と相手方を知ってから3年、もしくは元奥様が気づいているか否かを問わず、実際に不貞行為が始まったときから20年のいずれか短い年数が経過した段階で援用ができます。
この期間が経過した後に請求された場合には内容証明郵便などで、消滅時効の援用をすれば支払いを免れることができますので、司法書士に相談しましょう。

まとめ

債務整理の手続きには基本的に離婚に関わる請求や子供の養育資金を除外することはできませんが、その他の交渉や調停によって減額や分割払い、場合によっては支払わずに済むケースも生じますので、司法書士などの法律の専門家に相談するのがベストです。